平成23年度 2級建築士設計製図合格発表

平成23年度2級建築士設計製図試験の合格発表について
「趣味(自転車)室のある専用住宅〔木造2階建〕」
(注)答案用紙には、1目盛が4.55mm(矩計図の出題がある場合は10mm)の方眼が与えられている。
課題の概要・・・今年度は、アプローチ及び出入口と屋外施設の配置が計画のポイント
近年はゾーニングと動線計画が問われる課題が多く出題されています。
本年度の課題も、ゾーニングと動線計画が問われる課題でした。
アプローチ及び出入口が明確に指定され、要求室や屋外施設との連絡関係も細かく指定されましたが、概ね配置計画はしやすい課題でした。ただし、多くの屋外施設が要求され、その配置によっては、趣味室へのアプローチに無理があったり、南側の敷地の空きスペースが足りなくなったプランも多くありました。
本年度課題は、設計条件から、計画自体は対応しやすい課題であったと思われます。ただし、条件が細かく指定されたため、ミスをしやすい課題でもありました。
計画上の配慮や作図表現などのミスの積み重ねが合否を分けるポイントになったと思われます。
設計のポイント
今年度課題の設計のポイントを整理してみると次のようになります。
◆「出入口」の計画
- 住宅部分(玄関)とは別に趣味室への専用の出入口
- 趣味室の専用の出入口とは別の屋外テラスへの出入口
- 家事室からガーデニング用の庭への出入口
◆屋外施設の計画
- 屋外テラス
・9m2以上
・趣味室へ隣接
・趣味室へ自転車を支障なく移動
・ガーデニングの庭を眺められる位置
- ガーデニング用の庭
・直径4.5mの円が入るスペース
・家事室に隣接、行き来
・居間から眺められる9m2以上の花壇
- 駐車スペース:2台分
- 駐輪スペース:5台分、植栽等による目隠し
- 屋外スロープ:玄関及び趣味室の出入口へのアプローチ(勾配1/15以下)
- 屋外テラス
「ガーデニング用の庭」の大きさから、南側の敷地の空き寸法が決められ、「2台分の駐車スペース」から、北側の敷地の空き寸法が決められることから、建物の配置が決まってしまうため、駐車スペースの配置によっては、住宅及び趣味室へのそれぞれ専用のアプローチの計画が難しくなりました。
しかし、趣味室の大きさや、1階及び2階の要求室の数や規模は、想定していた課題と変わりなかったため、室の配置計画には大きな影響はなかったものと思われます。
また、要求室の連絡関係や、隣接条件、眺望についても十分予想できていたので、ほとんどの受験生が対応できたものと思われます。
ランクI〜IVの割合からみえる今年度試験の特徴
全国統一課題となったと思われる平成16年度以降の合格率及びランクの割合を示し、過去の木造課題、平成22年「兄弟の二世帯と母が暮らす専用住宅」、平成20年「高齢者の集う趣味(絵手紙)室のある二世帯住宅」、平成19年「住宅地に建つ喫茶店併用住宅」と比べ、試験の難易度を分析してみましょう。

ランクW(失格)は8.3%で、木造課題としては未完成者が少なく、完成率は高かった試験といえます。しかし、ランクVが23.8%で、平成20年と同様にその割合が多く、細かく設定された設計条件の「計画ミスの積み重ね」による大減点項目に該当する受験者が多い試験であったといえます。 また、ランクUも15.3%と平成22年と比べてもやや増えています。
今年度は、ランクU、ランクVの割合が多く、『課題の特色である設計条件違反』や、『作図の正確性や表現力の差』、『柱・梁の架構計画の差』、『耐力壁の上下階・平面的なバランス計画の差』で、合否がわかれた試験であったということがわかります。
ランクU〜Wの受験者の方は、次のような点に留意しなければなりません。
ランクII:更に作図の正確性や表現力、平面計画と構造計画の精度を上げる学習が必要
ランクIII:設計条件から、課題の特色となる設計条件を整理する力、及び構造計画をより
意識した学習が必要
ランクIV:時間内に完成させる製図力、表現力の養成が必要で、それらを実現させるため
には、まず、木構造をしっかり理解し、そのうえで、平面計画と構造計画を一体
的に計画する基本手順をしっかりと身につける学習が必要
図面・構造の理解なくして作図のスピードは上がりません。またそれが、合理的なプランニングのスピードを上げ、適正な作図時間を確保することにもつながるのです。
23年度課題の合否を分けた採点の重要項目
次に採点のポイントと大減点項目と思われる点を挙げてみましょう
★主な失格項目
- 構造・規模違反
- 次の主要室の欠落及び設置階違反
趣味室、玄関、LDK、家事室、予備室、夫婦寝室、子ども室(1)、(2)
- 屋外テラス及びガーデニング用の庭 両方の欠落
- 階段の欠落
- 答案の1面以上未完成
★課題の特色に対する大減点項目
- 趣味室に専用の出入口がない
- 趣味室と住宅部分が屋内で行き来できない
- 趣味室と屋外テラスが直接行き来できない
- 趣味室と予備室が隣接していない
- 家事室とガーデニング用の庭が直接行き来できない
- 居間から花壇が眺められない
- 構造計画上の不備
以上が合否を分けた採点のポイントと考えられます。
平成24年 対策
財団法人建築技術教育普及センターより「二級建築士試験の試験内容の見直し」について発表がありました。
「設計製図の試験」においては、建築物の設計全般に関する基本的な知識・能力等を確認するため、従来の設計課題における要求内容を概ね維持したうえで、試験内容が見直されます。見直し内容の概要は以下の通りです。
−平成24年 二級建築士試験内容の見直しについて−
「設計製図の試験」の見直し内容
- 計画の自由度を高めた条件設定
- 「計画の要点等」記述の要求(100〜200字程度)
- 設計課題に応じて矩計図に変えて断面図の要求
- 試験時間の延長 4時間30分⇒5時間
http://www.jaeic.or.jp/
具体的な見直し内容については、平成24年6月上旬の課題の公表時に発表される予定です。
平成24年の試験は、特に、見直し内容に応じた課題対策が必要となります。
試験データ
| 平成23年 | 平成22年 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 学科の試験 | 設計製図の試験 | 学科の試験 | 設計製図の試験 | ||
| 実受験者数 | 23,012人 | 13,389人 (うち、製図から 5,381人) |
26,371人 | 14,786人 (うち、製図から 5,359人) |
|
| 合格者数 | 8,784人 | 7,039人 | 10,401人 | 7,706人 | |
| 合格率 | 38.2% | 52.6% | 39.4% | 52.1% | |
| 最終 | 実受験者数 a | 28,393人(注) | 31,730人(注) | ||
| 合格者数 b | 7,039人 | 7,706人 | |||
| 合格率 b/a | 24.8% | 24.3% | |||
注)「学科の試験」の実受験者と「設計製図の試験」からの実受験者との合計です。
採点結果の区分及び合格基準
採点結果については、ランクI、II、III、IVの4段階区分であり、ランクTが合格。
- ランクI(52.6%):「知識及び技能」を有するもの
- ランクII(15.3%):「知識及び技能」が不足しているもの
- ランクIII(23.8%):「知識及び技能」が著しく不足しているもの
- ランクIV(8.3%):設計条件・要求図面に対する重大な不適合に該当するもの
※「知識及び技能」とは、2級建築士として備えるべき、「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。
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