平成27年度1級建築士設計製図試験 本試験課題検証



平成27年度 1級建築士設計製図試験解析 

■ 総評


 今年度の試験課題は、「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅」で「集合住宅」については、平成18年度以来、9年振りの出題、又、「デイケア」については、23年度以来、4年振りの出題でした。 テーマが発表された当初は、近年の「サービス付き高齢者向け集合住宅 (以下、サ高住と言う。)」を考慮した出題も視野に入れ検討を進めてきました。

 実際に出題された住戸については、台所・浴室・便所を付設した集合住宅と、各階に居住者の交流・団欒の場となるラウンジ、及び共用の洗濯室を持つという設定で、近年の「サ高住」に多くみられる食堂や浴室を共有するタイプではなく、住戸の広さも約30m2の1タイプという指定で、予想が的中していました。また、デイサービス部門の設置階についても、2階を想定した課題を多く進めてきたことで、エスキス時間についても、比較的短く対処できていたと考えます。

 次に「計画の要点等」においては、記述項目が多かったことや、これまでに出題されなかった項目も多かったことで、受験者の多くが、時間超過していたことが伺えます。また、特に構造の「基礎免震構造を採用するに当たって建築物に設定した目標耐震性能」に関する出題については、難易度も高かったと思われます。一部の試験会場(東京会場調査)における答案完成状況は、90%程度でした。

 以上の点を踏まえ、試験の難易度については、建築物のプラン計画については比較的やさしく、計画の要点記述については難しい出題であったと想定されます。

 それでは、以下に、今回の試験のポイントと受験者が特に悩んだ計画の要点記述についての考え方を示します。



■ 本試験問題のポイント


① 計画可能範囲について
 免震構造のクリアランス(可動域60㎝程度)を考慮し、隣地境界から建築物までの空きを3mと想定します。また、車寄せについては、北側道路に送迎車両の入口と出口を計画し、通り抜けの計画で進めます。

次に駐車場は、車寄せに面して設けることが可能ですので、道路境界からの空きは、駐車スペースを考慮した8mと想定します。下図の通り、44m×24mが可能範囲となり、計画を進めます。



② グリッド計画について
 基準階(集合住宅)の住戸間口により想定されますが、住戸数は、各階12戸(約30m2)で、その他、ラウンジ、洗濯室を求められましたので、住戸を全室南面開口で配置した場合、7スパンの計画により屋上庭園も含めた計画が可能です。その場合、東西のグリッドは、6m×7mとなります。


③ アプローチの計画
 北側道路からエントランスホールへのアプローチを計画します。
なお、共用のエントランスホールから住宅部門・デイサービス部門及びレストラン・ギャラリー等へアクセスする計画となります。ただし、レストランは、地域住民も利用することから東側の商店街からも直接アプローチできるように計画することも考えられます。


④ 設置階の振り分け
 1階には、周辺環境及び地域住民の利用等を考慮して、共用部門及び、サービスを想定した設備スペースを計画します。
次にデイサービス部門については、利用者及び介護スタッフが利用及び管理しやすい計画とするため、2階にまとめてゾーニングする計画が適切と考えます。


⑤ 吹抜けの計画
 エントランスホールには約100m2の吹抜けを計画しますが、グリッドが6m×7mの場合は、2.5コマで計画します。梁を抜く計画とすることからも東西方向に横長の計画とし、無柱空間とならない計画とします。


⑥ 屋上庭園の計画
 屋上庭園は、一般的には、植栽を計画することから、日照に配慮することが基本です。
ただし、3階の住戸が南面に開口部を設ける計画となるため、住戸のプライバシーを確保することや、セキュリティに配慮し南側配置を避け、東側又は西側配置が考えられます。ただし、東側及び西側の計画ができない場合は、北側配置でも日照が確保できれば、問題は無いと考えます。

また、居住者が利用しやすい計画とするため、階段・エレベーターの近くでアクセスできる計画がポイントです。広さは、「約○○m2」の指定でしたので、90m2~110m2が適切です。


⑦ 駐車場・車寄せの計画
 車寄せは、通り抜けの計画を指定されませんでしたが、乗降が効率よくでき、敷地にも余裕があることから、通り抜けが適切と考えます。
※送迎車両の駐車スペース(寸法)については指定が無いため、普通車の2.5mx5mのスペースでも問題はないと考えます。


⑧ 基礎免震構造を採用するに当たって建築物に設定した目標耐震性能について
 基礎免震構造における目標耐震性能に関しての出題となりました。
免震構造を採用したことによる地震時の安全性、優位性について問う出題と考えられます。

(2)-① 免震構造は一般の耐震構造に比べて、建築物に作用する地震力を大きく低減できることから、耐震構造に比べ容易に等級Ⅰ類〔大地震後も構造体の補修をすることなく建築物を使用できる〕をクリアできること等について記されていれば問題ありません。

(2)-② 「目標耐震性能を達成するため」とありますが、基礎免震構造において、以下の項目に対する記述(以下の内容等)が記されていれば問題ありません。
・構造種別:剛性が高く、免震構造に適している鉄筋コンクリート造。
・架構形式:計画の自由度が高く免震構造を採用することのメリットを活かせる純ラーメン架構。
・スパン割:免震装置に対して均等な荷重とするために均等なスパン割が適切。
・主要部材の断面寸法(柱700×700、梁500×700)等、耐震構造の構造部材に比べ小さくできます。

(2)-③ 「目標耐震性能を達成するため」とありますが、免震層において、以下の項目に対する記述(以下の内容等)が記されていれば問題ありません。
・免震材料:積層ゴムアイソレータとオイルダンパー、高減衰積層ゴムアイソレータ等。
・その位置:荷重を受ける柱の下部。
・外周部のクリアランス:変位を400程度と想定し600程度。
・エキスパンションジョイント:歩行の安全性を考慮しスライド式のエキスパンションジョイントカバーを採用。


⑨ レストランの厨房の排気ダクトのルートの計画
・排気ファン:住戸に対する臭気等の配慮を求められていると考えられます。
したがって、住戸の主要な開口部以外に排気口を設けていることが記されていれば問題ありません。
※上部(1階又は2階での陸屋根)への排気も良い手段です。
・排気ダクト:ダクトを短くする工夫、厨房が外部に面している場合には直接排気を行うなどを記述。


⑩ 住宅の排水管の計画
 建築物の断面計画:水回りのスラブを下げ、スラブ上配管について記されていれば問題ありません。

パイプシャフトの配置計画:水回りとの配置、各階の上下関係、メンテナンスへの配慮等について記されていれば問題ありません。 (早期対策課題1、演習1A、特訓模擬等)


⑪ 自然災害時の建築物の機能の維持
 給排水衛生設備:ポンプ直送方式とし、貯水分を確保できていることを記されていれば問題ありません。(早期対策課題2、演習5等)
※排水設備については、緊急排水槽等を設けることもあります。

電気設備:非常用自家発電機、太陽光発電パネルの設置等による対策について記されていれば問題ありません。(演習5、特訓2A等)

以上




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