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1級建築士

試験のポイント

2016年 1級建築士学科 速報:本試験分析


★昨年の合格基準点92点!さあどうなる今年の合格基準点?

昨年の合格基準点は、計画11/20点、環境・設備10/20点、法規16/30点、構造16/30点、施工13/25点、総合92/125点で、総得点は得点率で73.6%、『合格率18.6%』の結果でした。


〔過去5年間の合格基準点と合格率〕
年度 計画(点) 法規(点) 構造(点) 施工(点) 総得点(点) 合格率
計画 環境設備
23年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 87/125 15.7%
24年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 94/125 18.2%
25年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 92/125 19.0%
26年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 90/125 18.3%
27年 11/20 10/20 16/30 16/30 13/25 92/125 18.6%

 今年の試験は、『概ね90点(得点率72%)程度を基本的な水準』となるのでしょうか。
 採点サービスで集計した一般受験者のデータ、試験の出題傾向、出題難易度から分析した今年の検証結果 速報をお伝えします。




総 評

☆出題傾向:実務に携わる上での啓蒙的な出題

 各科目とも過去に出題された内容であっても、表現や論点を少し変えて技術者としての判断力を問うような出題が昨年同様、顕著であった。

計画においては、発展的な問題が例年以上に出題された。

環境・設備では、昨年同様、かなり古い建築士試験の図や計算問題が復活してきた。

法規においては、建築基準法や建築士法で改正に関する出題があり、難しく感じた受験者が多かったと思われる。

構造力学においては、解答を出すにあたり、難しくはないものの、計算に手間がかかる問題が目立った。

施工は、新規の選択枝が例年以上に出題されたため、選択枝の正誤の判断がつけられる学習の質と量が求められた内容といえる。

難易度は科目ごとでは差があるものの、昨年よりもやや難しいレベルと予想される。


☆難易度(合格基準点)

・正答率が70%以上の問題をランク〔A〕易しい問題、
・正答率が50%以上、70%未満の問題をランク〔B〕標準問題、
・正答率50%未満の問題をランク〔C〕難しい問題、
 として、今年の試験の難易度を昨年結果と比較してみた。


〔問題の難易度の内訳〕
科目 問数 Aランク
(70%以上)
Bランク
(50%以上70%未満)
Cランク
(50%未満)
2015年(問) 2016年(問) 2015年(問) 2016年(問) 2015年(問) 2016年(問)
計画 20 9 5 3 8 8 7
環境・設備 20 4 10 8 5 8 5
法規 30 12 7 15 14 3 9
構造 30 10 9 16 12 4 9
施工 25 7 7 11 8 7 10
合計 125 42 38 53 47 30 40

 125問中、ランクAの易しい問題が昨年よりも7問減り、ランクCの問題が10問増加した。全体とてしては、昨年より、若干、難易度が高くなり、今年の合格基準点は、前年対比で下がると考えられる。  各科目の得点状況であるが、

計画は、Bランクが増え、Aランクが減少したことで、平均点は昨年より下がると思われる。

環境・設備については、Aランク問題が6問増え、Cランク問題が3問減少したことで、平均点は上がる。

法規はAランク問題が5問減少、Cランク問題が6問増加したことにより、平均点が下がる。

構造は、Bランク問題が4問減少、Cランク問題が5問増加したことにより平均点が下がる。

施工は、Cランク問題が3問増加したことで、平均点は若干、昨年より下がると思われる。

 また、各科目基準点については、各科目とも基本水準どおり、過半の得点になる見込みである。


計 画計画 環境・設備環境・設備
法 規法規 構 造構造
施 工施工 5科目合計
5科目合計

☆合格率の見込み:低合格率の予測

合格基準ラインは、昨年の92点に比べ、3点程度下がると予想される。




各科目分析

★学科Ⅰ 計画(20問)

●出題分野:各論12問、建築史2問、都市計画2問、設計・工事監理2問、積算1問、マネジメント1問

 難易度は全体的に例年並みで、昨年と比べて、Aランク問題で4問減、Bランク問題で5問増、Cランク問題で1問減と、標準的な問題が増え、易しい問題、難しい問題が減るという結果となった。都市計画・まちづくり関係の問題が2問出題され、この分野の重要性を再認識させられる問題構成であった。

 建築物の設計・工事監理等に関する問題やプロジェクトマネジメントに関する問題等は、実務的な内容のものが多く、受験生が日頃から建設業界を取り巻く情勢や社会的動向等にも注意を傾けているかどうかが問われている内容であることが伺える。

 一方、計画各論においては、全般的に過去問題からの出題も多く、比較的解答を見つけやすかったと思われる。今回は建築史も含め建築物や都市に関する実例の問題が5問と非常に多かった上に、新規の内容も含まれており、解答を見つけるのに苦労した受験生も多かったと思われる。


〔出題項目と難易度ランク〕
NO 2016年 2015年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1  技術者倫理  建築士の職責・業務
2  建築物の再生:実例  日本建築史
3  西洋建築史  近代建築史
4  細部計画  細部計画
5  周辺環境  環境に配慮した建築物
6  計画一般(パッシブデザイン)  建築物の配置・環境配慮
7  各部寸法(駐車場)  建築生産
8  各部寸法  各部寸法
9  計画一般(客席・観覧席)  高齢者等に配慮した計画
10  都市計画:実例  都市の再生
11  まちづくり  まちづくり
12  住宅:実例  集合住宅:実例
13  集合住宅:実例  住宅・住宅地
14  事務所ビル  事務所ビル
15  公共建築(博物館・劇場)  公共建築
16  病  院  高齢者施設
17  細部計画  建築物の再生:実例
18  工事監理  設計・工事監理
19  積 算  積 算
20  プロジェクトマネジメント  プロジェクトマネジメント

●特徴的な出題

NO.1:技術者倫理等の用語に関する問題。
 建築士の試験としては4つとも新規の出題内容であるが、そのうちいくつかは日頃よく耳にする聞き慣れた用語である。冷静に考えれば解答を見つけるのは決して難しいことではない。

NO.6:自然エネルギーを利用したパッシブデザインに関する問題。
 今年の1級建築士設計製図試験の課題にも取り上げられた「パッシブデザイン」が学科試験においても単独で1問出題された。近年の建築士試験の傾向である学科の知識力と製図の応用力を問う出題と言える。

NO.19: 積算に関する問題。
 積算の問題は例年文章問題であったが、今年は図をもとにした計算問題として初めて出題された。計算方法を知っている受験生にとっては、きわめてやさしい問題だったが、知らない受験生でも冷静に考えれば概ね見当がつく問題である。



★学科Ⅱ 環境・設備(20問)

●出題分野:建築環境工学10問、建築設備10問

 難易度については、昨年と比べると、Aランク問題が6問増、Bランク問題、Cランク問題がそれぞれ3問減であることから、易しくなったといえる。昨年同様、省エネルギーや環境負荷低減等を意識した問題が散見された。これは社会環境を取り巻く情勢に対し、建築を通じ1級建築士としてどのような対応が求められているかを予見させる内容ともとれる。

 例年、建築設備に関しては専門化した内容のものも出題されるが、今回はエレベーターの電力消費くらいであった。


〔出題項目と難易度ランク〕
NO 2016年 2015年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1  環境工学融合(用語)  環境工学融合(用語)
2  結  露  室内環境(熱・空気)
3  換 気(計算)  熱損失(計算)
4  伝  熱  換 気
5  防火・防災  防火・防災
6  日  影  日照・日射
7  昼光・照明  照明計算(逐点法)
8  色 彩  色 彩
9  音 響  音 響
10  遮音・吸音  吸音・遮音
11  空気調和設備(冷凍機)  空気調和設備
12  空気調和設備  空気調和設備
13  換気設備・排煙設備  空気調和設備
14  給排水設備  給排水衛生設備
15  給排水設備  給排水衛生設備
16  照明設備  電気設備
17  電気設備  照明設備
18  防災設備  防災設備
19  設備融合  昇降機設備
20  環境・設備融合  環境・設備融合

●特徴的な出題

No.2:住宅の結露防止に関する問題。
 結露に関する問題が単独で1問出題されるのはかなり久しぶりである。しかし、各設問枝を見てみるとよく出題されるものばかりなので、解答するうえでは戸惑った受験生は少なかったのではないか。

No.6:日影に関する問題。
 1級建築士試験において、日影に関する図の問題が出題されたのは10年以上前に遡る。今年の問題も平成12年に出題されたものとほとんど同じであり、近年の試験においては、かなり古い問題が復活して出題される傾向が強い。

No.20:環境・設備融合に関する問題。
 エレベーターの電力消費に関する設問は新規の出題であり、近年改正された省エネルギー基準に関する内容として今年も啓蒙的な意味で出題されたと考えられる。



★学科Ⅲ 法規(30問)

●出題分野:建築基準法20問、建築士法4問、都市計画法1問、消防法1問、耐震改修促進法1問、融合問題3問(建築基準法・建築士法・都市計画法・宅建業法・建設業法・宅地造成等規制法・都市再生特別措置法・駐車場法・浄化槽法)

 改正法令の問題が多かったことなどで、昨年と比べCランク問題が6問増えたことにより、平均点としては2点近くのダウンとなりそうである。建築士法は、単独で4問、融合問題も含めると5問の出題があり、今年も関係法令で最も重要な分野となった。

 時事的な問題としては、昨年改正された法令として、建築基準法から「仮使用の認定制度」、「特殊建築物の防火規定」や建築士法から「書面による契約締結の義務」、「建築設備士の意見聴取の努力義務」、「建築士事務所の所属建築士における変更届義務の違反」、宅建業法から「宅地建物取引士」などそれぞれ出題があった。


〔出題項目と難易度ランク〕
NO 2016年 2015年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1  用語の定義  用語の定義
2  面積・高さ・階数  高さの算定
3  手続き(確認済証の交付)  手続き(確認済証の交付)
4  手続き  手続き
5  一般構造  一般構造(採光)
6  防火区画等  防火区画等
7  耐火建築物等  避難規定
8  防火・避難  内装制限
9  防火・避難  防火・避難
10  建築設備  建築設備
11  構造強度(申請書類)  構造強度
12  構造強度  構造計算
13  構造強度  構造強度
14  道路等  用途地域
15  容積率  道路等
16  高さの制限(計算問題)  容積率
17  用途制限  高さの制限(計算問題)
18  防火・準防火地域内  防火・準防火地域内
19  地区計画等  建築協定・地区計画等
20  建築基準法融合  建築基準法融合
21  建築士法  建築士法
22  建築士法  建築士法
23  建築士法  建築士法
24  建築士法  都市計画法
25  都市計画法  消防法
26  消防法  品確法
27  耐震改修促進法  関係法令融合
28  法規融合  関係法令融合
29  関係法令融合  職業倫理
30  関係法令融合  基準法・士法融合

●特徴的な出題 (改正法令が解答枝となった主な問題)

No.7:耐火建築物等
 今回の建築基準法改正のポイントのひとつである「木造3階建ての学校」が、解答(誤り)枝として出題された。木材利用の促進施策として「耐火構造としなければならない3階建ての学校等について、実大火災実験等により得られた新たな知見に基づき、一定の防火措置を講じた場合には準耐火構造等にできることとする。」改正が行われたため、「耐火建築物としなければならない」とした枝4.は誤りである。なお、仕様規定の緩和とともに、特殊建築物の防火規定(法27条)は性能規定化されたため、枝4.の学校は、「特定避難時間倒壊等防止建築物」とすることも可能である。

No.21:建築士法(業務・契約)
 改正建築士法からも一番の改正ポイントである「書面による契約締結の義務化」が、解答(誤り)枝として出題された。「延べ面積が300m2を超える建築物の新築に係る設計受託契約又は工事監理受託契約について、当該契約の当事者は、それぞれ書面に署名又は記名押印し、相互に交付しなければならない。」改正(士法22条の3の3第1項)が行われたため、「200m2の建築物の新築」とした枝3.は誤りである。

No.22:建築士法(業務・建築士事務所)
 改正建築士法による建築設備士に係る規定の整備として「建築設備士の意見の聴取の努力義務」が、解答(誤り)枝として出題された。「建築士は延べ面積2,000m2を超える建築物の建築設備の設計を行う場合には、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならない。」改正(士法18条4項)が行われたため、「設備設計一級建築士の意見」とした枝3.は誤りである。



★学科Ⅳ 構造(30問)

●出題分野:力学問題6問、一般構造21問、建築材料3問

 問題構成は昨年とほぼ同じで、計算問題は過去問ベースの問題が出題され、比較的容易に正解を導き出せたと思われる。ただし、計算に手間がかかるような問題がいくつかあるため、計算に時間をとられていたように思われる。
 また、文章問題においても、一般構造・建築材料とも、解答枝は過去問題ベースでの出題が中心であったため、全体としては例年に比べて難易度は同程度と思われる。



〔出題項目と難易度ランク〕
NO 2016年 2015年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1  全塑性モーメント  断面の性質
2  梁の変形  不静定梁
3  不静定ラーメン  スリーヒンジラーメンの応力
4  崩壊荷重  崩壊荷重
5  静定トラスの応力  静定トラスの応力
6  固有周期  応力度
7  荷重・外力融合  地震力
8  弾性座屈荷重  荷重・外力融合
9  木質構造(各部構造)  木質構造(各部構造)
10  木質構造(構造計算)  木質構造(耐力壁)
11  RC造(各部設計)  RC造(各部設計)
12  RC造(配筋)  RC造(配筋)
13  RC造(構造設計)  RC造(構造設計)
14  RC造(耐震計算)  RC造(構造設計)
15  S造(溶接)  S造(各部設計)
16  S造(各部設計)  S造(各部設計)
17  S造(各部設計)  S造(各部設計)
18  S造(耐震設計)  S造(高力ボルト接合)
19  基礎構造(杭基礎)  地盤
20  基礎構造  基礎構造
21  土質・地盤  擁壁・地下外壁
22  コンクリート系構造  PC造
23  各種建築構造  各種構造融合
24  耐震計算  耐震設計
25  免震・制振構造  構造計画
26  構造計画  耐震設計
27  木質材料  木質材料
28  コンクリート  コンクリート
29  鋼材  鋼材
30  構造計画  免震・制振

●特徴的な出題 (※正答率の低かった問題について。)

No.3:水平力が作用する不静定ラーメンに関する問題。
 柱と斜材が負担する水平力の和が水平荷重の大きさになる。斜材が負担する水平力は、題意(T=100kN)から60kNと解るので、それぞれの柱が負担する水平力Qは20kNと得られる。なお、柱脚がピンなので、Qが作用する位置が柱脚(反曲点位置)であることから、柱頭の曲げモーメントを求めることができる。

No.12:RC造の配筋に関する問題。
 主筋の継手は引張応力が小さい箇所に設けるのが基本であり、スパン中央は最も曲げモーメントが大きくなり、梁下側に引張力が生じる。力学の知識が応用できれば、すぐに解答は2.と導き出せる。

No.18:鉄骨構造の耐震設計に関する問題。
 すべて過去問題で構成されているが、解答枝の枝1.については、筋かい端部・接合部の破断防止が「保有耐力接合」である。

No.21:土質及び地盤に関する問題。
 過去問題の類似問題を中心に出題されているが、解答枝の4.については、振動が伝わりやすい地盤(S波速度が大きい)は強い地盤(せん断剛性が大きい)、と考えればよい。



★学科Ⅴ 施工(25問)

●出題分野:施工計画1問、施工管理4問、各部工事19問、請負契約1問

 Bランクが減り、Cランクが増えたことで、若干、平均点は下がると思われる。

 例年になく新規問題が全体の30%と多く、NO.23「耐震改修工事」は全枝、NO.21「各種工事」、NO.22 「各種改修工事」は、3枝が新規で構成された問題であった。また、かなり古い問題(10年以上前)をリメイクした出題が10%と例年に比べ目立った。

 今後も、設問文の丸暗記ではなく、テキスト、問題集の解説、さらに表の内容を理解するような学習が求められるといえる。



〔出題項目と難易度ランク〕
NO 2016年 2015年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1  施工計画  施工計画
2  現場管理  現場管理
3  材料管理  材料管理
4  渉外諸手続き  渉外諸手続き
5  仮設工事  仮設工事
6  土工事・山留め工事  土工事・山留め工事
7  地業工事  地業工事
8  鉄筋工事  鉄筋工事
9  型枠工事  型枠工事
10  コンクリート工事(融合)  コンクリート工事(調合)
11  コンクリート工事(施工)  コンクリートの性質
12  プレキャスト鉄筋コンクリート工事  プレキャストコンクリート工事
13  木工事(接合金物)  鉄骨工事(工場製作)
14  鉄骨工事(溶接)  鉄骨工事(融合)
15  鉄骨工事(接合)  木工事
16  防水工事  防水工事
17  張り石・タイル工事  タイル・左官工事
18  金属工事・ガラス工事  ガラス工事
19  内外装工事  耐震改修工事(天井)
20  設備工事  設備工事
21  各種工事融合  各種工事融合
22  各種改修工事  耐震改修工事
23  耐震改修工事  各種改修工事
24  用語(検査器具)  用 語
25  請負契約  請負契約

●特徴的な出題
特徴のある問題、正答率較差の付いた問題。

NO. 4:渉外諸手続き
 新規枝、(正解枝)は過去15年以上前の出題を1枝ずつ含んだ設問。較差が大きくついた問題で、過去に出題された設問枝を確実に把握する必要がある問題である。

NO.10:コンクリート工事
 調合に関する設問。正解枝は、高強度コンクリートに関する較差が大きくついた設問であるが、論点は、「単位セメント量」の基本的内容を把握できているかを問う内容。実務上も求められる内容である。

NO.16:防水工事
 新規2枝、(正解枝)は過去15年以上前の出題を1枝含んだ設問。最も較差がついた問題で、古い内容も取り入れた教材で学習することが必要といえる。



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