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1級建築士

平成28年 1級建築士設計製図合格発表

試験データ

  平成28年 平成27年
学科の
試験
設計製図の
試験
学科の
試験
設計製図の
試験
実受験者数 26,096人 8,653人
25,804人 9,308人
合格者数 4,213人 3,673人 4,806人 3,774人
合格率 16.1% 42.4% 18.3% 40.4%
総合 実受験者数 a 30,648人 30,462人
合格者数 b 3,673人 3,774人
合格率 b/a 12.0% 12.4%

※「学科の試験」の実受験者と「設計製図の試験」からの実受験者との合計です。

平成28年 1級建築士設計製図試験の合格発表について

設計製図合格率42.4% ≪昨年より1.9pアップ≫

最終合格率12.0%   ≪昨年より0.4pダウン≫


1.受験者答案の分析から見えてくる採点基準についての考察

 下記の分析結果は、受験者が試験直後に復元した答案の中からサンプルを抽出し、答案の計画内容と合否結果とを照らし合わせ、詳細に分析した結果から見えてきた、日建学院独自の採点基準です。
 約200名のサンプル答案の合格率は56.2%でしたので、それを下回る数値の計画には、何らかの問題や減点があったものと考えられます。


●グリッド計画
 保育所部門の保育室(4室)、乳児室、ほふく室及び廊下(屋外遊戯場への出入口)を環境の良い南側に配置するためには、7スパンの計画が適切であり、6スパンの計画は合格率が低い結果でした。

計画内容 受験者の割合 合格率 サンプル合格率との差
①6m×7m 85.8% 57.6% +1.4%
②7m×7m 3.7% 0.0% -56.2%
③7m×6m 2.5% 25.0% -31.2%
④その他(上記の複合を含む) 8.0% 76.9% +20.7%

【採点基準についての考察のまとめ】
 受験者答案の分析から見えてくる採点基準について、どのような用途でも共通する、合否を分ける重点項目は次のように考えられます。

●ゾーニングと動線計画
 設計製図の基本は、ゾーニングと動線計画です。今年の課題では保育所部門と児童館・子育て支援部門を明確に分離してゾーニングし、動線交差のない計画がポイントとなりました。
 その中で、保育所部門を1階にまとめ、2・3階に児童館・子育て支援部門を計画することが適切で、保育所部門を1・2階に分けて計画した場合の合格率は低い結果でした。

●適切な構造計画、設備計画
 構造計画、設備計画が合否に大きく影響することが明らかです。 基礎の計画においては、出題で「経済性を踏まえて・・・」とあり、すべてをべた基礎で計画するのではなく、独立基礎で計画することが良い結果に繋がっています。 また、天井等落下防止対策については、天井吊り材や斜材等により振れ止めするような図示をし、記述においては、その特定天井の規準を記入することで、明確な解答となったと考えます。
 設備計画として、パッシブデザインを求められ、自然採光については、南面に窓を計画し、トップライト等により、北側エントランス等に採光を確保することで、十分対処できました。
 また、自然換気〔卓越風(夏期・中間期)・通風〕においてもトップライト、欄間や窓を計画することで対処できました。 その他、地中熱による環境負荷低減としては、当社の実例建物映像においても紹介しましたが、「アースチューブ」による計画が、標準解答例にも図示されていました。

●「計画の要点等」の適切な記述
 「計画の要点等」の採点のウェイトが高いことが想定されます。計画の要点等については、例年テーマを具体的に絞った出題が目立ち、記述力が合否に大きく影響する結果となっています。


    次年度対策ガイダンス
    上記の他、合否を分けたポイントについて、「基礎構造の形式」や「天井等落下防止対策の図示」等、20項目程度の分析を行っています。 この結果を把握して次年度に向けて学習することが重要です。各校で実施します「次年度対策ガイダンス」で、詳しく説明致しますので、是非多くの方のご参加をお待ちしております。

2.試験機関から公表された「採点のポイント」と「採点結果の区分」

合格発表と同時に試験機関から公表された「採点のポイント」は次のとおりです。

  1. 空間構成

    ①建築物の配置計画
    ②ゾーニング・動線計画
    ③要求室等の計画
    ④建築物の立体構成等

  2. 意匠・建築計画

    ①要求室の機能性・快適性等
    ②図面、計画の要点等の表現・伝達

  3. 構造計画

    ①大スパン架構における上部構造の構造種別・架構形式、スパン割り及び部材の断面寸法の計画
    ②大空間における天井等の落下防止対策の考え方
    ③地盤条件及び経済性を踏まえて採用した基礎構造の計画

  4. 設備計画

    ①自然エネルギーの利用方法とその省エネルギー効果
    ②自然採光及び自然換気の利用

  5. 設計条件・要求図面等に対する重大な不適合

    ①「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「計画の要点等が完成されていないもの」又は「面積表が完成されていないもの」
    ②地上3階建てでないもの
    ③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
    ④建築面積が1,260㎡以下でないもの
    ⑤床面積の合計が2,000㎡以上、2,500㎡以下でないもの
    ⑥次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの
    乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室、調理室、幼児用便所①、医務室、保育所玄関、事務室①、屋外遊戯場、集会室、プレイルーム、図書室、工作室、児童クラブ室、育児交流室、育児相談室、幼児用便所②、受付、事務室②、屋上広場、エントランスホール、前述以外の便所、機械室又は設備スペース、エレベーター
    ⑦その他設計条件を著しく逸脱しているもの


    続いて、平成28年度から24年度までの採点結果の区分(ランク分け)の状況を示します。


ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの
「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

 ほとんどの受験者は、試験機関からは公表されていない細かな項目に関する採点基準によって、合格となったランクⅠと、不合格となったランクⅡ・Ⅲに区分されたことになります。この「採点基準」こそが試験対策の要となるわけです。

 また、ランクⅡの割合が27.1%であり、ランクⅠに続いて2番目に割合が高くなっていることから、細かい採点基準の中で1点・2点を競う試験になっていることが分かります。


3.学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率の比較

 平成28年から24年までの当年の学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率は次のとおりです。今年の合格率の差は7.3%となっています。

  全国
合格率
①当年の学科合格者の
合格率

②学科免除者の合格率

(前年/前々年学科合格者)
②-①
合格率
の差
合格者
/受験者
合格率 合格者
/受験者
合格率
28
年度
42.4% 1,582名
/4,101名
38.6% 2,091名
/4,552名
45.9% 7.3%
27
年度
40.5% 1,594名
/4,650名
34.3% 2,180名
/4,658名
46.8% 12.5%
26
年度
40.4% 1,656名
/4,653名
35.6% 2,169名
/4,807名
45.1% 9.5%
25
年度
40.8% 1,714名
/4,927名
34.8% 2,300名
/4,903名
46.9% 12.1%
24
年度
41.7% 1,973名
/5,215名
37.8% 2,302名
/5,027名
45.8% 8.0%

4.次年度試験対策

  1. 低層建築物、基準階建築物それぞれのエスキス手順の理解

     課題テーマは、低層建築物と基準階建築物の2つに大別することができます。ホテル、事務所ビル等の基準階建築物と、図書館、コミュニティセンター等の低層建築物のエスキス手順は異なります。早期からどちらの手順についても、実践課題を通してマスターすることが必要です。

  2. 梁伏図・矩計図対策

     「梁伏図、矩計図等の構造計画に関する図面から1面程度」出題すると公表されており、早期から正確な図面を描き上げる能力、また、部材の断面寸法等、構造に対する知識の向上を図ることが重要です。

  3. 記述対策

     受験者答案分析から、「記述で合否が決まる」と言っても過言ではありません。近年の試験では記述の出題が、より専門的になり、確立した知識を求められるようになっています。
     また、解答についても要点をまとめ、適切に記入することが重要となっています。記述対策を十分に行うことが合格への絶対条件です。

  4. 構造・設備計画

    ・基礎構造計画
    ・天井等落下防止対策
    ・パッシブデザイン
    上記の項目については、今後の試験においても設計者として、常に知識を求められます。十分に考え方を理解することがポイントです。




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