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設備設計1級建築士とは?
資格取得の方法、メリットについて解説!

「設備設計1級建築士になるには何をすればいいの?」「設備設計1級建築士の試験は難しいの?」といったお悩みをお持ちではありませんか?

本記事では、設備設計1級建築士の資格の概要、年収、求人、設備設計1級建築士になるための手順、試験の難易度、勉強方法などについて解説します。設備設計1級建築士は、設備設計の経験、知識を持つ1級建築士として、高いニーズがあります。設備設計1級建築士を目指している人は、参考にしてください。


目次



設備設計1級建築士とは

設備設計1級建築士とはどのような資格なのでしょうか。 設備設計1級建築士の資格の概要、1級建築士と建築設備士の違い、設備設計1級建築士の人数について以下に説明いたします。


設備設計1級建築士はどんな資格?

設備設計1級建築士は、設備設計に関する専門知識・経験の証明となる、1級建築士の上位資格です。設備設計1級建築士制度が創設されたのは2006年のことです。

2005年に耐震偽装問題が起こり、建築許可の際のチェック体制が問題視されました。これを受けて、建物の安全性を担保する構造設計と設備設計に関して、専門性を持つ1級建築士が確認を行う体制が作られました。


設備設計1級建築士と建築設備士の違い

設備設計1級建築士と建築設備士は、設備設計についての専門知識を有し、設備設計の安全性、妥当性の検討に携わる点では共通しています。しかし、業務の範囲、独占業務の有無、法的な位置づけなどが大きく異なります。

設備設計1級建築士は、1級建築士の上位資格のため、1級建築士の中で設備設計に関する専門知識を有する者という位置づけです。

一方で、建築設備士は、建築設備の設計・工事監理について建築士に助言を行える資格です。
設備設計1級建築士は、あらゆる建築の設計を行えますが、建築設備士は建物の設計は行いません。

また、大規模建築の設備設計の検討に携わる時の役割、権限にも違いがあります。階数3以上かつ床面積の合計5,000平方メートル超の建築における設備設計は、設備設計1級建築士による設備関係規定の適合性確認を義務づけられています。一方、延べ面積が2,000平方メートルを超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、建築設備士の意見を聴くよう努めなければならないという努力義務となっています。

設備設計1級建築士のチェックが義務であるのに対し、建築設備士からの意見聴取は努力義務で強制力はありません。設備設計1級建築士が行うのは適合性の確認で、建築設備士はあくまで意見を言う立場であるという違いもあります。


設備設計1級建築士の人数

設備設計1級建築士の登録者数は、令和2年4月1日現在で5,656名です(公益財団法人 日本建築士会連合会)。1級建築士の登録者数が371,184名で あるのに対し、設備設計1級建築士の人数は少なく、希少性が高いことがわかります。

参考:公益社団法人 日本建築士会連合会
「令和2年度 建築士登録状況(令和2年4月1日現在) 」より



設備設計1級建築士になるメリット

設備設計1級建築士になると、どのような良いことがあるのでしょうか。 給与面、社会的ニーズの観点から設備設計1級建築士のメリットを説明します。


設備設計1級建築士の年収

設備設計1級建築士の年収は700万円~1000万円と言わ れています。1級建築士の年収は、厚生労働省が公表している賃金構造基本統計調査の2019年データ によると、1級建築士の平均年収は約703万円となっています。

設備設計1級建築士の平均年収のデータはありませんが、設備設計1級建築士の資格手当を1級建築士の資格手当より高額に設定している企業もあり、1級建築士の年収に上乗せされた額であると推定できます。設備設計1級建築士の資格は、高年収の1級建築士の年収をさらにアップさせる武器になります。


設備設計1級建築士の求人

設備設計1級建築士の資格を活かせる求人は多数あります。また、設備設計1級建築士の有資格者を優先採用、優遇するという記載がある求人もあります。階数3以上かつ床面積の合計5,000平方メートル超の大型建築の設備設計については、設備設計1級建築士が自ら設計を行うか設備設計1級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられているため、大型建築案件を扱う企業では設備設計1級建築士の需要が非常に高いです。



設備設計1級建築士になるには

設備設計1級建築士になるには何をすれば良いのでしょうか。設備設計1級建築士になる方法を以下に説明します。


1級建築士として設備設計の経験を積む

設備設計1級建築士になるには、まず1級建築士として設備設計の業務を5年間行う必要があります。

設備設計業務の他に、建築設備の工事監理業務、建築確認前の消防同意業務、建築設備の審査業務等も業務経験に含まれます。また、建築設備士を取得してから1級建築士になったケースでは、1級建築士取得前に建築設備士として行った建築設備業務も業務経験に含めることができます。

建築設備の設計および工事監理の補助作業については、2013年10月より業務経験の対象外となりました。※2013年9月までに行った建築設備の設計および工事監理の補助作業は実務経験に含まれます。

設備設計業務を5年間行った証明は、従事した設備設計業務の内容と期間を記載した業務経歴書、業務経歴書の内容を第3者により証明する業務経歴証明書の提出によって行います。


講習会を受講する

設備設計に関する実務経験を積んだあとは、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習を受けます。1級建築士として5年以上設備設計に関する業務に従事すると、講習会の受講資格が得られます。必要書類とともに申請を行いましょう。

講習会は3日間の講義です。講義の内容は電気設備、空調・換気設備、給排水衛生設備、輸送設備といった建築設備の設計技術、建築設備関係法令、建築設備設計総論、法適合確認です。


試験に合格する

講習過程は、3日間の講義と、1日の修了考査で構成されています。3日間の講義を受けた後、修了考査に合格することで、設備設計1級建築士の資格を取得できます。

設備設計1級建築士として法適合確認業務を行うには、建築技術教育普及センターに士証交付申請を行い、設備設計1級建築士証の交付を受けなければなりません。交付申請を行ってから2ヶ月ほどで、設備設計1級建築士が交付されます。講習会修了後1年が交付期限で、それ以降は交付が受けられなくなってしまうため、修了後は早めに申請を行いましょう。


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設備設計1級建築士の試験について

設備設計1級建築士は、講習会の後に行われる修了考査に合格すると資格が得られます。修了考査について以下に説明します。


設備設計1級建築士修了考査の内容

設備設計1級建築士修了考査は、法適合確認と設計製図の2つの区分で構成されています。法適合確認は、設備関係規定について問われる記述式の試験で、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、輸送設備に関する問題が各5問ずつ出題されます。考査時間は2時間です。設計製図は、設備計画、設備設計について出題され、製図または記述にて回答します。


設備設計1級建築士修了考査の難易度は?

設備設計1級建築士修了考査の難易度は、高いと言えます。公益財団法人 建築技術教育普及センターでは、設備設計1級建築士講習会の修了率を公表しています。

令和3年度の全科目受講の受講者の修了率は47.4%、令和2年度の全科目受講の受講者の修了率は29.4%です。修了率の高い年度でも修了率は半分を切る上に、年度ごとの修了率のばらつきが大きく、修了率の低い年度は30%未満と大幅に低くなります。 設備設計1級建築士の修了考査は、講習会を受けた人が全員合格できる性質のものではないことに留意しましょう。

なお、建築設備士の有資格者の区分で受講すると、設計製図試験が免除になります。建築設備士の区分で受講した人の合格率は、令和3年度で80.8%、令和2年度で57.5%と全科目受講よりも高くなります。

参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター
「設備設計一級建築士講習データ」より


設備設計1級建築士修了考査は独学で通過できる?

設備設計1級建築士は、令和2年4月1日現在で全国に5,656名しかいません。 設備設計1級建築士講習会を受ける人数は毎年300~400人台です。受験者の総数が少ないため、市販の過去問やテキストは販売されていません。また、すでに述べた通り、全科目受講の場合の講習会の修了率は大体30~50%と、半分以上が修了できない難度の高い試験です。全科目受講のI区分であっても、設備設計の経験が、電気・空調・衛生設備すべて満遍なくカバーできるものであれば、独学での修了考査通過は可能でしょう。

建築設備士の有資格者のIV区分で受講すると、合格率が高くなります。学習範囲も法適合確認のみに絞られるため、独学での考査対策のハードルは低くなります。全科目受講のI区分で修了考査に通過する自信がない場合は、まずは日建学院の建築設備士講座を利用し、建築設備士になってから設備設計1級建築士を目指すのも有効な方法です。


設備設計1級建築士修了考査の勉強方法

設備設計1級建築士修了考査は、適切な対策をしなければ合格できません。設備設計1級建築士修了考査の勉強方法を以下に紹介します。


講習のテキストを読み込む

設備設計1級建築士の修了考査は、市販の対策本や過去問集がありません。教材は、講習のテキストのみです。建築設備士有資格者の受講区分(区分IV)の場合は、テキストの法適合確認の部分のみを集中して読み込みましょう。講習会で解説された箇所は頻出のため、必ず頭に入れておきましょう。全科目受講の区分Iの場合も、講習会で解説された箇所を重点的に勉強することになります。


過去問

建築技術教育普及センターに申請すると、前年度分の過去問を送付してもらえます。※申請方法は建築技術教育普及センターのホームページを参照してください。

建築技術教育普及センターから頒布される過去問は、問題のみで解答はついていません。テキストを見ながら自分で正答を導き出す必要があります。可能であれば、同じ設備設計1級建築士の講習会を受ける人と答え合わせを行ったり、過去に設備設計1級建築士を受験した人に過去問をもらったりできると学習しやすくなります。自分で解答を作りながら問題を繰り返し解いて、問題形式に慣れましょう。



設備設計1級建築士を目指すなら

本記事では、設備設計1級建築士の資格の概要、年収、求人、設備設計1級建築士になるための手順、試験の難易度、勉強方法などについて説明しました。

建築設備士二次試験では、講習会の活用や過去問題の学習が大切になってきます。建築設備士二次試験内容をより深く理解し試験に臨むために、資格学校・スクールを活用するのも大変良い方法です。

設備設計1級建築士は、大型建築における設備設計における法適合確認ができる1級建築士として、高いニーズがあります。設備設計1級建築士になるには、1級建築士として十分な設備設計の知識経験を培った上で、講習会の内容を復習することが必要です。設備設計1級建築士を目指すにあたり、建築や設備設計の知識に不安がある人は、まずは日建学院にご相談してみてください。


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