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平成29年 1級建築士 設計製図試験合格発表

試験データ

  平成29年 平成28年
学科の
試験
設計製図の
試験
学科の
試験
設計製図の
試験
実受験者数 26,923人 8,931人
26,096人 8,653人
合格者数 4,946人 3,365人 4,213人 3,673人
合格率 18.4% 37.7% 16.1% 42.4%
総合 実受験者数 a 31,061人 30,648人
合格者数 b 3,365人 3,673人
合格率 b/a 10.8% 12.0%

※今年「学科試験」から受験した方と、過去2年間に「学科の試験」に合格し今年「設計製図の試験」から受験した方の合計です。

平成29年 1級建築士設計製図試験の合格発表について

設計製図合格率37.7% 
≪昨年より4.7Pダウン≫
最終合格率10.8% 
≪昨年より1.2Pダウン≫

1.受験者答案の分析から見えてくる採点基準についての考察

下記の分析結果は、受験者が試験直後に復元した答案の中からサンプルを抽出し、答案の計画内容と合否結果とを照らし合わせ、詳細に分析した結果から見えてきた、日建学院独自の採点基準です。

約100名のサンプル答案の合格率は47.0%でしたので、それを下回る数値の計画には、何らかの問題や減点、もしくは計画における難しさがあったものと考えられます。

客室の設置階

客室A(計10室)、客室B(計2室)、客室C(計2室)、すべてを南側に配置するためには、2層以上に分けて計画することが必要でした。ただし、南側と東側に配置することで、1層で計画することも可能でした。これらの計画の集計結果は下記のとおりです。

計画内容 受験者の割合 合格率 サンプル合格率との差
①全て2階 77.0% 35.1% -11.9%
②2階+1階 18.0% 66.7% +19.7%
③2階+地階 3.0% 66.7% +19.7%
④2階+1階+地階 2.0% 100.0% +53.0%
【採点基準についての考察のまとめ】

受験者答案の分析から今年の課題においては、客室の計画が重要なポイントでした。課題の要求に「全ての客室は、名峰や湖の眺望に配慮する」とあり、敷地周辺環境を考慮すると、南側又は東側に配置しなければ減点と思われます。
宿泊部門を中廊下型で計画し、客室(計14室)の過半程度を北側に配置した場合、試験内容の見直し時に公表された「空間構成の足切り」に抵触したものと考えられます。

採点基準について、どのような用途でも共通する、合否を分ける重点項目は次のように考えられます。

ゾーニングと動線計画

設計製図の基本は、ゾーニングと動線計画です。今年の課題では、利用者部門と管理部門を明確に分離してゾーニングし、動線交差のない計画がポイントとなりました。

適切な構造計画、設備計画

構造計画、設備計画が合否に大きく影響することが明らかです。今年の課題では、斜面地や支持地盤を考慮した基礎の計画が重要でした。

「計画の要点等」の適切な記述

「計画の要点等」の採点のウェイトが高いことが想定されます。例年テーマを具体的に絞った出題が目立ち、記述力が合否に大きく影響する結果となっています。

2018年対策ガイダンスのお知らせ

上記の他、合否を分けたポイントについて、「グリッドの計画」や「客室の向き」等、20項目程度の分析を行っています。この結果を把握して2018年に向けて学習することが重要です。各校で実施します「2018年対策ガイダンス」で、詳しく説明いたしますので、是非多くの方のご参加をお待ちしております。

2.試験機関から公表された「採点のポイント」と「採点結果の区分」

合格発表と同時に試験機関から公表された「採点のポイント」は次のとおりです。

  1. 空間構成(「足切り」の採点)

    ①建築物の配置計画
    ②ゾーニング・動線計画
    ③要求室等の計画
    ④建築物の立体構成等

  2. 建築計画

    ①建築物のパッシブデザインの計画
    ②要求室の機能性・快適性等
    ③図面、計画の要点等の表現・伝達

  3. 構造計画

    ①建築物全体の「構造種別・架構形式」、「スパン割り」、「主要な部材の断面寸法」
    ②地盤条件及び敷地条件を踏まえた構造計画

  4. 設備計画

    ①ダクトルートの計画における空調機械室及びダクトスペースの配置計画

  5. 設計条件・要求図面等に対する重大な不適合

    ①「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「計画の要点等が完成されていないもの」又は「面積表が完成されていないもの」
    ②地下1階、地上2階建てでないもの
    ③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
    ④建築面積が1,360.8m2(敷地面積の60%)以下でないもの
    ⑤床面積の合計が2,400m2以上又は2,800m2以下でないもの
    ⑥次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの
    客室、エントランスホール、フロント、事務室、ラウンジ、レストラン、地域ブランドショップ、コンセプトルーム、大浴場、トレーニングルーム、多機能トイレ、便所、電気室、機械室、エレベーター、車椅子使用者用駐車場、車回し、車寄せ
    ⑦その他設計条件を著しく逸脱しているもの

続いて、平成29年から25年までの「採点結果の区分(ランク分け)」を示します。

ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの

「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

ほとんどの受験者は、試験機関からは公表されていない細かな項目に関する採点基準によって、合格となったランクⅠと、不合格となったランクⅡ・Ⅲに区分されたことになります。この「採点基準」こそが試験対策の要となるわけです。

3.学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率の比較

平成29年から25年までの当年の学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率は次のとおりです。今年の合格率の差は10.9%となっています。

  全国
合格率
①当年の学科合格者の
合格率
②学科免除者の合格率
(前年/前々年学科合格者)
②-①
合格率
の差
合格者
/受験者
合格率 合格者
/受験者
合格率
29
37.7% 1,564名
/4,793名
32.6% 1,801名
/4,138名
43.5% 10.9%
28
42.4% 1,582名
/4,101名
38.6% 2,091名
/4,552名
45.9% 7.3%
27
40.5% 1,594名
/4,650名
34.3% 2,180名
/4,658名
46.8% 12.5%
26
40.4% 1,656名
/4,653名
35.6% 2,169名
/4,807名
45.1% 9.5%
25
40.8% 1,714名
/4,927名
34.8% 2,300名
/4,903名
46.9% 12.1%

4.2018年試験対策

  1. 低層建築物、基準階建築物それぞれのエスキス手順の理解

    課題テーマは、低層建築物と基準階建築物の2つに大別することができます。ビジネスホテル、事務所ビル等の基準階建築物と、図書館、コミュニティセンター等の低層建築物のエスキス手順は異なります。早期からどちらの手順についても、実践課題を通してマスターすることが必要です。

  2. 梁伏図・矩計図対策

    「梁伏図、矩計図等の構造計画に関する図面から1面程度」出題すると公表されており、早期から正確な図面を描き上げる能力、また、部材の断面寸法等、構造に対する知識の向上を図ることが重要です。

  3. 記述対策

    受験者答案分析から、「記述で合否が決まる」と言っても過言ではありません。近年の試験では記述の出題が、より専門的になり、確立した知識を求められるようになっています。また、解答についても要点をまとめ、適切に記入することが重要となっています。記述対策を十分に行うことが合格への絶対条件です。

  4. 試験対策

    基礎構造の計画、パッシブデザインの取り入れ等については、今後の試験においても設計者として、常に知識を求められます。十分に考え方を理解することがポイントです。

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