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HOME > 講座一覧 > 1級建築士TOP > 合格への道 > 平成29年 級建築士設計製図課題発表

平成29年 1級建築士設計製図課題発表

平成29年
1級建築士設計製図課題

小規模なリゾートホテル

[要求図書]

  • ●配置図(縮尺1/200)
  • ●地下1階平面図、1階平面図、2階平面図(縮尺1/200)
  • ●断面図(縮尺1/200)
  • ●面積表
  • ●計画の要点等
  • (注1)「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する特別特定建築物の計画
  • (注2)パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画
  • (注3)斜面地を考慮した建築物の計画
  • (注4)車両動線(車回し、車寄せ等)を考慮した外部空間の計画

課題対策

1. 課題の背景

平成24年(2012年)末からのビザ緩和や東京オリンピック開催を背景にした訪日外国人観光客の増加、円安による国内旅行の好調など旅行客の増加が進んでいます。

平成28年(2016年)に政府から発表された「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では、訪日外国人観光客数の目標を東京オリンピックが開催される2020年までに4,000万人と定めました。平成27年(2015年)には約1,973万人、平成28年(2016年)には約2,400万人が訪れ、目標に向かい、順調な推移をみせています。

また、インバウンドと呼ばれる「爆買い」では都市部を中心とした消費でしたが、地方を含めた多様な消費へと広がりを見せ、観光地・リゾート地のホテル需要が高まっています。地方では官・民が連携し、個性ある地方の魅力を発信しながら、差別化を図るリゾートホテルの開発が行われています。

1990年代に盛んであったリゾート開発に伴う、大規模なリゾートホテル建設とは一線を画し、現在は小規模で個性豊かなリゾートホテル建設が進んでいます。

2. 「リゾートホテル」の出題について

「リゾートホテル」とは、景勝地、温泉地、世界遺産、史跡、ビーチ、高原・山岳地帯などの観光地・リゾート地に立地する遊覧や保養を目的とする旅行客のための宿泊施設を指します。

観光客向けにプールやプライベートビーチ、テニスコート、スキー場、ゴルフ場、など多くの付帯施設を持つ大規模なものから小規模のものまで存在します。

「リゾート」とは、保養地や行楽地を意味し、休暇・余暇を過ごす場所として、リゾート地を以下のように大別することができます。

  1. ① マリンリゾート・・・島・海岸等(比較的温暖な地域)
  2. ② 山岳リゾート・・・・山岳・高原地(標高が高く冷涼な地域)
  3. ③ スパリゾート・・・・温泉地等(火山帯に近い地域)

また、発表課題下部に注1~注4として次の項目が示されています。

(注1)「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する特別特定建築物の計画

2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の開催決定や障害者権利条約の批准、障害者差別解消法の施行、急速な高齢化の進行により、建築物の一層のバリアフリー化が求められています。

このような背景から、高齢者や障害者等に配慮した、バリアフリー化の整備強化が行われています。

特に、ホテルについて、バリアフリールーム以外の通常の客室に関する規定を一般の客室にも適用する改正(平成28年度版)が行われ、重要視される項目となっています。法規の改正を周知する目的も含まれています。

(注2)パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画(平成28年試験と同様)

地球温暖化に伴いC02削減を進める中で、福島原発事故によるエネルギー問題も起こり、それらを含んだ自然エネルギーの有効活用に注目が集まっています。
設備機器を依存することなく、建物の構造や材料などの工夫により、「太陽光・風・空気・熱」を取り入れ、熱や空気の流れを建築的に制御し、快適な室内環境を作り出す設計手法が問われています。

(注3)斜面地を考慮した建築物の計画

高低差のある敷地条件で対応力が必要となります。レベル差を有効に活用した、立体的な計画力、土留めや基礎構造など、傾斜地盤の処理などが問われています。

(注4)車両動線(車回し、車寄せ等)を考慮した外部空間の計画

利用者は車でのアクセスが前提となるため、円滑な車のアプローチが必要となります。それに伴い、歩行者の安全に配慮した、歩車分離の計画が問われています。

「車回し」とは、敷地内で自動車が転回できるロータリー形状を指します。「車寄せ」と比べ、スペースが必要になる点にも考慮が必要です。

以上のような要素を踏まえると、リゾートホテルに関連した出題には以下のようなものがあります。

ホテルの出題
昭和63年出題 「リゾートホテル」
構造
鉄筋コンクリート造
規模
地上3階、地下1階建 (地下1階は機械室)
延べ面積
2,700m2以上、3,300m2以下
平成3年出題「シティホテル」
構造
鉄筋コンクリート造
規模
地上7階、地下1階建(地下1階は駐車場、宴会場・レストラン用厨房、荷捌き、電気・機械室)
延べ面積
地階を除き5,000m2以上、5,600m2以下
平成20年出題「ビジネスホテルとフィットネスクラブからなる複合施設」
構造
鉄筋コンクリート造、一部他の構造種別と併用
規模
地上7階、地下1階建(地下1階は電気・機械室)
延べ面積
地階を除き6,000m2以下
景勝地・傾斜地・宿泊室等の出題
平成8年出題 「景勝地に建つ研修所」
構造
鉄筋コンクリート造
規模
地上2階、地下1階建(地下1階にも居室を計画)
延べ面積
地階を除き1,500m2以上、2,000m2以下
敷地内の傾斜
4m
傾斜地の出題
平成12年出題「世代間の交流ができるコミュニティセンター」
構造
鉄筋コンクリート造
規模
地上2階、地下1階建(地下1階は機械室)
延べ面積
1,500m2以上、2,000m2以下
敷地内の傾斜
1.5m

以上の出題を参照し、宿泊室やそれに付随する室、管理人室・宿直室についての出題のされ方、傾斜地の考え方など、参照しておくと良いでしょう。

3. 「リゾートホテル」の計画上のポイント

リゾートホテルを計画する上で、ゾーニングや動線計画においてポイントとなる項目を確認しておきます。

  1. ⅰ. 宿泊部門と共用部門が明確に区分されていること
  2. ⅱ. 利用者の動線と管理・サービスの動線が区分されていること
  3. ⅲ. 食材やごみ、リネン類の動線が適切に計画されていること
  4. ⅳ. 管理部門から利用者の入退館が管理できること

4. その他の施設等

その他の施設(屋外施設)としては、テラス、送迎マイクロバス用駐車場及び車回し・車寄せ、車椅子使用者用駐車場、サービス用駐車場などが想定されます。

テラス(バーベキューテラス、デッキテラス等)が指定される場合、宿泊者以外の利用も想定した配置計画も重要になります。

課題文を正確に読み取り、計画を進めるようにして下さい。

5. 設備計画

設備機器や設備シャフト等の位置が例年求められています。

設備機器としては、空調機械室、キュービクル、受水槽、浄化槽、浴室のためのボイラー・ろ過機・貯湯槽等が考えられ、設置する場所及びその寸法については正しく理解しておくことが必要です。

また、設備シャフトについても、給排水用シャフト(PS)、空調用シャフト(DSまたはPS)、電気用シャフト(EPS)をそれぞれ計画する必要があり、その位置及び寸法についても正しい把握が必要です。

6. 法規

都市計画区域内においては、建ぺい率の指定がある場合、その上限に違反した計画は、「重大な不適合」に該当し失格となります。また、都市計画区域外で、準都市計画区域以外の区域内の場合においても、壁面後退や高さ制限、建ぺい率の指定が考えられます。

したがって、課題においては、挙げられた法規を遵守することが絶対条件です。また、2方向避難や重複距離の違反についても、大減点になりますので注意しなければなりません。

7. 計画の要点等

例年、計画の要点が10問程度要求されます。

建築計画・構造計画・設備計画において配慮した事項を記述式で要求されますが、重要なのは、実際に計画した建物と記述した内容に不整合がないことです。

建物の計画が優れていても、記述との不整合があれば、採点者の印象を下げ、大きな減点を受ける可能性が高いと言えるでしょう。

暗記した内容をそのまま記述するのではなく、内容を正しく理解した上で記述することを心がけましょう。

学習のポイント

以上のことから、今年の課題に対し、特に重要と考えられる学習のポイントを列記します。

  1. ⅰ. 宿泊部門・共用部門・管理部門の明確なゾーニング
  2. ⅱ. 屋外施設(テラス、駐車場等)を含め周辺環境に配慮した配置計画
  3. ⅲ. 宿泊室・浴室・ラウンジ等と周囲の景観(眺望)との関係
  4. ⅳ. 利用者動線と管理・サービス動線の適切な計画
  5. ⅴ. 斜面地を活かした建築計画
  6. ⅵ. 特記事項欄から算定する要求室の面積
  7. ⅶ. 大空間が想定される諸室(多目的室等)の構造計画・設備計画
  8. ⅷ. 大浴場の設備計画
  9. ⅸ. 法規の遵守
  10. ⅹ. 記述問題に対応できる正確な知識

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