2026年 1級建築士 学科試験合格発表

試験結果

2026年7月26日(日)に実施された、1級建築士「学科試験」の結果が、2026年9月2日(水)に公表されました。

受験者数 合格者数 合格率
 29,094人  7,619人  26.2%

合格基準点

学科 I
(計画)
学科 II
(環境・設備)
学科 III
(法規)
学科 IV
(構造)
学科 V
(施工)


合格
基準点
11 11 16 16 13 94

  • ※各科目及び総得点の合格基準点すべてに達している者を合格とする。
  • ※なお、合格基準点について、各科目は過半の得点、総得点は概ね 90 点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が低かったことから、上記合格基準点としている。

総評

《合格発表》
合格基準点は、昨年より
6点上がり、94点
合格率は、近年では一番高い26.2%

7月26日(日)に実施された1級建築士学科試験の合格者が発表された。
受験者29,094名、合格者7,619名、合格率は26.2%で昨年より9.7ポイント上がった。
合格基準点は、計画、環境・設備が11/20、法規、構造が16/30点、施工13/25点、総合94/125点

  計画(点) 環境
設備(点)
法規(点) 構造(点) 施工(点) 総得点(点) 合格率
R8年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 94/125 26.2%
R7年 11/20 11/20 16/30 16/30 13/25 88/125 16.5%

※なお、合格基準点について、各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が低かったことから、上記合格基準点としている。

※また、正答肢について、「学科Ⅲ(法規)のうち、No.29 については、当初定めた選択肢1のみを正答としていたが、正答肢がなかったので受験者全員に得点を与える。」と発表されました。

《試験傾向と難易度分析》
標準的な問題の正誤が合否を分けた!

円グラフ出題傾向は、実務に携わる上での啓発的な出題や社会的な重要性の高い分野からの出題となっており、昨年から大きな変わりはない。
正答率Aランク(70%以上)の設問が昨年より24問増え56%出題され、正答率Bランク(50%以上70%未満)の設問が昨年より11問減り32%出題された。
容易なAランクの問題、標準的なBランクの問題を確実に得点できたかにより、合否が分かれた。

1.受験者数、合格者数

  R8年 R7年 R6年 R5年 R4年 R3年
受験者数
(人)
29,094
(1,605増)
27,489 28,067 28,118 30,007 31,696
合格者
(人)
7,619
(3,090増)
4,529 6,531 4,562 6,289 4,832
合格率
(%)
26.2% 16.5% 23.3% 16.2% 21.0% 15.2%

受験者数は、昨年に比べ1,605名増加し、合格者数も3,090名増加した。


受験者数・合格者数・合格率推移グラフ

2.今後の学習方針
標準的な問題(Bランク正答率50~70%)の取りこぼしが合否を分ける!
「学習の質」が問われる試験!

近年の試験は、従来の表現や論点を変えた出題が増えている。標準的な問題の対策であっても、単に過去の出題を暗記するだけでは不十分で、問題の本質を正しく理解し、その周辺情報まで一歩掘り下げた発展的な学習が求められる。つまり、学習の量だけでなく「学習の質」が問われる試験になっている。

そこで重要なのは、発展的な学習の方向付けである。無作為に学習範囲を広げても、それは非効率であるだけでなく、出題傾向から逸脱してしまうことにもなりかねない。

また、近年の試験は、専門技術者としての「責任」が問われる建築士の位置付けから、出題内容は多岐にわたっている。実務において求められる啓発的な内容が大きな柱になり、各科目の範囲に縛られない出題が増えたことに注目しなければならない。

だからこそ、5科目の内容を横断的に整理した効果的な発展学習が必要であり、そのためには、学習の方向付けを明確にすることが重要で、その「学習の質」が合否を分けることになる。

科目別の総評
【計 画】

当学院生と当学院生以外の受験生の正答率に格差のついた問題について、No.2(日本建築史)の法隆寺五重塔は新規問題として当学院の公開模擬試験に出題しており、正答率は突出して上回った。

No.7(建築計画)の認知症グループホームは機能訓練室の設置基準等を問う難易度の高い問題で、講義後の小テストで取り上げており、設置しなければならない室ではないことを理解した学院生は確実に誤りを見抜くことができた

No.11(都市公園・緑地)の近隣公園は、小テストで取り上げた問題の解説にあり、暗記だけでは正答することができず、正答するには面積等の詳細な付帯情報まで学習する必要があった。解説の他、細かな規定まで記憶することが高い正答率に繋がっている。

No.17(建築物の保存再生)(実例)の倉敷アイビースクエアは、当学院生以外の受験生より正答率が大きく上回り、直前期の答練である直前攻略テストの効果が大きかった。

過去の問題集だけでなく10年以前の過去問題や新規問題も含めた当学院の教材を活用した学院生は、表現の違いにも惑わされず本質を理解し得点することができたという結果が表れている

【環境・設備】

学科Ⅱ(環境・設備)は難易度が高い新規問題がいくつか出題されたが、全体的に過去問の知識解答できる問題が多かった。その中でも、学習の取り組み方により正答率に差が生じている問題をいくつか取り上げる。

No.3(必要換気量の計算)は、換気量計算の公式条件を代入して小手を求める基本的な内容であった。計算問題ということで苦手意識を持つ受験生が一定数いるが、当学院ではこれらの頻出の計算問題を直前期教材などで反復学習しており、当学院生以外の受験生に比べて大きな正答率差をつけることができた問題であった。

No.17(電気設備)正答肢4は、風力発電のAC(交流)リンク方式DC(直流)リンク方式の特徴に関する、やや発展的な出題であった。過去には正しい記述でのみ出題されていたが、正誤入替をした記述を問題演習繰り返し取り組み、講義においても「ACリンク方式とDCリンク方式の特徴とその違い」を端的に解説していた。

これらの繰り返し学習により、単なる暗記ではなく原理を理解したうえでの正誤判断ができたため、当学院生はこの問題についても得点に繋げることができたと考えられる。

【法 規】

当学院生以外の受験生との得点差が大きく開いた問題として、防火・避難ではNo.9(既存建築物の用途変更)が挙げられる。正答肢1の「用途変更に係る全体計画認定制度」は、令和元年の法改正で創設された既存不適格建築物への緩和規定であり、翌年の令和2年に出題実績がある。
当学院生は、講義後の小テストや直前対策の教材などを用いた繰り返し学習により、新規出題である用途変更による非常用照明の適用に惑わされることなく、正答できたと考えられる。

基準法融合では、No.20(共同住宅)の問題がある。正答肢1の「容積率算定用延べ面積の緩和」は、過去にも多く出題された、必ず正解しなければならない頻出問題であり、当学院の指導に則って学習を行った学院生の正答率は95%以上であった。

関係法令融合では、No.30(住宅関連法令)の問題がある。正答肢4は、近年の豪雨災害を踏まえた「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域内の開発制限」の設問であった。

これも過去に多く出題された重要問題で、当学院の指導に則って学習を行った学院生の正答率は、この問題でも95%以上あり、頻出事項を正確に押さえる日頃の学習指導が高い得点力につながったといえる。これらの頻出問題を確実に得点できるかどうかが、合否を分けるポイントとなる。

【構 造】

構造力学では、No.4(不静定構造物:多層ラーメンの荷重、反力、応力)において、試験前年の11月下旬から開講する「力学対策講義」で、単に立式するだけでなく、図示することにより、「力のつり合い」や「曲げモーメント図とせん断力図との関係」を可視化した上で計算に取組むことにより、具現化したイメーとを計算とつなぎ合わせることから学習を開始している。

そして、年が明けてからは、宿題や講義の受講後に実施する小テスト、直前対策の教材などで、期間を置きながら数々の類題に取組むことにより得点力を育む形としている。その結果、当学院の指導に則って学習を行った当学院生当学院生以外の受験生との正答率差は、20ポイントを超える大差となった。

また、文章問題において、No.17(鉄骨構造の耐震計算)は、結果を分析すると、令和8年学科試験の中で合否を分ける1問と言える問題であった。そのような問題において、正答肢4は、直近10年間の中で2回出題された「頻出過去問」である。ただし、2回とも正答肢ではない枝として出題され、今年は正答肢として、つまり、正誤を入れ替えた形で出題された。このような形で出題された場合、丸暗記学習をしている方は得点できない傾向にある。

さらに、それら2回の出題内容と今年出題された内容を比較すると、過去に「最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除く全ての接合部」を今年は「中間階の各柱梁接合部」に、また、「曲げ耐力」を「全塑性モーメント」に、それぞれ同じ意味であるが異なる表現に変えて出題されている。この場合においても、丸暗記学習をしている方は得点できない傾向にある。
このような形式で出題された場合、出題内容の本質を理解することにより、正しく解答することが可能である。

当学院の講義は、単にテキストや過去問の朗読だけではなく、何故そのように設計しなければならないのかという理由の理解を重視し、丸暗記に逃げない、理由に拘った形で提供している。その上で、講義で例題を提示し、解答時における知識の使い方を会得していただく形をとっている。そして、宿題や講義の受講後に実施する小テスト、直前対策の教材などで、正誤や表現、文章構成をアレンジした形で出題し、変化に揺るがされることのない「骨太の解答力」を育む形としている。
その結果、当学院の指導に指導に則って学習を行った当学院生と当学院生以外の受験生との正答率差は、30ポイントを超える大差となった。

【施 工】

学科Ⅴ(施工)については、新規問題の出題数は昨年と変わらず、また、過去問からの出題が多い問題構成であったため、難易度としては例年よりやや低い問題であった。

No.2(工事現場管理)の正答肢の肢2は、建設業法で昨年改正された部分についての問題で、必ず正解しなければならない問題であったが、当学院生正答率は9割を超えており、当学院生以外の受験生は新規である肢4を誤選択している割合が多かった。
その理由としては、当学院では法改正や規定の改訂に対応したテキスト・問題集を提供しており、また、本試験直前のテストや公開模擬試験繰り返し取り上げていたため、正答率の差が大きくなったと考えられる。

施工の試験は、工事の手順や細かい数値を問われる問題が多いのが特徴である。施工には様々な工事があるため、これらを覚えるのが苦手とする方が多い。
施工の学習方法イメージで覚えることが重要で、当学院は映像や写真・イラストを多く取り入れた講義を行っているので、正答率の差につながっている。

3.新規に出題された項目

計画
「サードプレイス」「石山寺多宝塔」「平等院鳳凰堂」「法隆寺五重塔」 「バルセロナ・パヴィリオン」「大壁枠回り木製額縁」「鋼板折板葺き」「心去り材」 「干割れ」「心持ち材」「長期優良住宅床下空間有効高さ」「一般流通材」「太陽光発電」 「クールアイランド」「灌水」「大学図書館」「アクティブラーニング」 「ラーニングコモンズ」「もぎり(チケットチェック)」「当事者参画ガイドライン」 「同伴者用座席」「優先駐車区画」「立地適正化計画」「景観計画」「景観重要建造物」 「景観重要樹木」「緑道」「防犯建物部品等(CP表示品)」「品確法特定寝室便所」 「長期優良住宅既存認定」「災害救助法」「建設型応急住宅」「福祉仮設住宅」 「セグリゲーション」「防災センター」「副舞台」「後舞台」「主舞台」 「聴覚障害特別支援学校」「照射室」「リニアック」「精神科病院」「精神科病棟」 「保護室」「観察廊下」「旧富岡製糸場西置繭所」「香川県庁舎旧本館・東館」 「四会連合約款契約解除」「ISO9000シリーズ」「サプライチェーンマネジメント」
環境・設備
「精密機器製造工場の空調方式」「壁吹出し空調方式」 「椅子吹出し空調方式」「温湿度センサーと空気調和機のシステム図」 「排煙ファンの容量」「耐火仕様ダクト」「コミッショニング」「ESG不動産投資」
法規
「計画通知(用語)」「階段寸法の避難安全検証と一般構造の関係」 「地下道の構造基準」「耐火構造の告示基準」「準不燃・難燃材料の告示基準」 「膜構造建築物の緩和」「特別避難階段の内装の告示基準」「用途変更の非常用照明」 「非常用EVロビーの面積」「煙突の構造基準」「21N超コンクリートの許容応力度」 「渡り廊下の構造耐力上主要な部分」「水素ステーションの用途制限」 「特例対象規定(用語)」「都計法:開発区域内制限の認定の有無」 「バリアフリー法:劇場の車椅子使用者用客席の設置基準、階段の構造基準」 「建築物省エネ法:省エネ基準適合義務の原則と適用除外、省エネ基準適合性判定」 「品確法:日本住宅性能表示基準の耐震等級」 「建基法・耐震改修法:用途変更及び改修工事の確認・検査申請の流れ」 「耐震改修法:大臣指定基準による既存耐震不適格の遡及適用の緩和」
構造
「曲げモーメント及び曲げ応力度が等しいときの矩形断面と円形断面の断面積の比」 「左半分と右半分で曲げ剛性が異なる単純梁における中央荷重点のたわみ」 「準耐力壁」「一端を柱と横架材との仕口、一端を柱に緊結した木製筋かい」 「両端にスラブが付いた梁の副あばら筋」 「引張側にスラブが取り付く大梁の短期許容曲げ耐力」 「架構のメカニズム時にヒンジが生じない状態の柱のせん断終局耐力と部材種別」 「鋼材強度と許容疲労強さ」「柱梁接合部パネルの早期降伏と骨組の剛性低下」 「土の飽和度」「地盤の有効応力」「圧縮側の杭の破壊と杭基礎全体の極限状態」 「構造特性係数Dsの算定における非埋込み形式の仮定」 「柱や梁に定着できない耐力壁の縦横筋の耐力」 「積層ゴムアイソレータの1次形状係数S1と積層ゴムの鉛直剛性及び曲げ剛性」 「CLT(直交集成板)の基準強度」「構造用集成材の強度性能」 「建築構造用圧延鋼材の常温から400℃程度までの引張強さ」 「鋼材スクラップから再生した電炉材の建築資材利用」
施工
「遠隔臨場」「建設業の許可の有効期間と更新」 「固定ピストン式シンウォールサンプラー」「動的コーン貫入試験」 「圧接部の外観試験及び超音波探傷試験を行う技能資格者」 「鉄筋のアプセット(縮み量)」「柱部材のスペーサーの配置間隔」 「煙突に使用する異形鉄筋の末端部の加工」「支柱の存置期間の延長」 「暑中期のコンクリートの目標スランプ」「Ⅰ類のコンクリート」 「プレキャスト鉄筋コンクリートの出荷日所要強度」 「鉄骨柱据付け面の高さの管理許容差」「ベースモルタルの平たん度」 「1節複数層の骨組の現場溶接」「真壁耐力壁」「防火設備へのガラスの設置」 「接触腐食の防止」「現場発泡断熱材の1日の総吹付け厚さ」 「鋼板巻き工法のグラウト材の厚さ」「穿孔作業におけるドリルのビット径」

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