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2020年 1級建築士 設計製図試験合格発表

1級建築士 設計製図試験合格実績

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試験データ

  2020年 2019年
学科の
試験
設計製図の
試験
学科の
試験
設計製図の
試験
実受験者数 30,409人 11,035人
25,132人 10,151人
合格者数 6,295人 3,796人 5,729人 3,571人
合格率 20.7% 34.4% 22.8% 35.2%
総合 実受験者数 a 35,783人 29,741人
合格者数 b 3,796人 3,571人
合格率 b/a 10.6% 12.0%

※今年「学科試験」から受験した方と、過去2年間に「学科の試験」に合格し今年「設計製図の試験」から受験した方の合計です。

2020年 1級建築士設計製図試験の合格発表について

設計製図合格率 34.4% 
≪昨年より0.8Pダウン≫
最終合格率10.6% 
≪昨年より1.4Pダウン≫

公表された合格基準等においては、例年に比べ「重大な不適合」に該当して、ランクⅣとなった受験者が35.7%、ランクⅢとなった受験者が24.3%と昨年の試験と同様に大変厳しい結果でした。

1.受験者答案の分析から見えてくる採点基準についての考察

下記の内容は、試験直後に受験者の方々に復元いただいた答案の計画内容を項目ごとに分析し、合否結果から想定される日建学院独自の分析データです。

約100名のサンプル答案の合格率は61.5%でしたので、それを下回る数値の計画には、何らかの問題や減点、もしくは計画における難しさがあったものと考えられます。

はじめに、受験者が悩まれた「ユニットの計画」、「法的採光」、「屋内の廊下幅員(1.8m以上)」についての合否結果については、下記のような分析結果になりました。

ユニットの計画(ユニット玄関及び下足箱の計画)について
ユニット(玄関・下足箱の計画) 受験者の割合 合格率 サンプル合格率との差
①各ユニット
に計画できた
92.7% 62.9% +1.4%
②各階に共用
として設けた
6.3% 50.0% -11.5
③設けていない 1.0% 0.00% -61.5
法的採光(個室・共同生活室・宿泊室・デイルーム等)の計画について
法的採光 受験者の割合 合格率 サンプル合格率との差
①すべての室で確保した 96.7% 63.6% +2.1%
②確保できない室があった 3.3% 33.3% -28.2%
屋内の廊下幅員(1.8m以上)の計画について 
屋内の廊下の幅員 受験者の割合 合格率 サンプル合格率との差
①すべて
確保した
62.5% 56.7% -4.8%
②管理側の一部で
確保できていない
34.4% 34.4% +11.2%
③利用者側の一部で
確保できていない
3.1% 33.3% -28.2%

※標準解答例においては、管理側の一部で廊下幅員が1.8mを下回る計画もありました。


なお、「その他介護に必要な室等」として、汚物処理室、介護材料室、リネン室等について、計画されていない場合にどのような採点が行われるかが不明確でしたが、発表された「採点ポイント(次項2参照)」の「※設計条件及び要求図書に対する重大な不適合」-⑥の「次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの」の中には、含まれていませんでした。
ただし、標準解答例においては、各諸室が計画されていましたので、「(1)空間構成」-③の「要求室等の計画」において、足切りに含まれた可能性もあります。

2.試験機関から公表された「採点のポイント」と「採点結果の区分」

合格発表と同時に試験機関から公表された「採点のポイント」は次のとおりです。

  1. 空間構成

    ①建築物の配置計画
    ②ゾーニング・動線計画
    ③要求室等の計画
    ④建築物の立体構成等

  2. 建築計画

    ①自然光の取入れ方や自然換気の工夫
    ②要求室の機能性等
    ③図面、計画の要点等の表現・伝達

  3. 構造計画

    ①耐震性を考慮して計画した建築物の構造種別・耐震計算ルート等
    ②車寄せ上部(屋根、庇等)の構造の計画
    ③地盤条件を踏まえた基礎構造の計画

  4. 設備計画

    ①高齢者介護施設としての空調計画
    ②インフルエンザやノロウイルスへの対策
    ③地盤条件を踏まえた基礎構造の計画

  1. ※設計条件・要求図面等に対する重大な不適合
    • ①「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「計画の要点等が完成されていないもの」又は「面積表が完成されていないもの」
    • ②地上3階建てでないもの
    • ③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
    • ④建築面積が1,468.8m2を超えているもの
    • ⑤床面積の合計が2,400m2以上、3,000m2以下でないもの
    • ⑥次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの
      個室、共同生活室、宿泊室、デイルーム、多機能便所、浴室、スタッフルーム、訪問看護スタッフルーム、エントランスホール、事務室、面会ラウンジ、地域交流スペース、調理室、会議室、医務室、相談室、職員休憩室、消火ポンプ室、受水槽室、PS・DS・EPS、寝台用エレベーター、人荷用エレベーター、車椅子使用者用駐車場、車寄せ
    • ⑦法令の重大な不適合等、その他設計条件を著しく逸脱しているもの

今年の試験では、重大な不適合においては、下記の項目等を含め、該当した受験者が多くなっていることが想定されます。

  1. ①未完成(昨年度より計画の要点等のイメージ図記入欄は、必ず記入のことと指示されました。) ※図の未記入も未完成とされたおそれがあります。
    法令の重大な不適合等、その他の設計条件を著しく逸脱しているもの

法令については、一昨年の試験から加えられた「延焼のおそれのある部分」、「防火区画(面積区画・竪穴区画)」、今年度の「道路高さ制限」、「直通階段に至る経路等」、「建築物移動等円滑化基準」も含めて、「重大な不適合」として厳しい採点がなされたものと考えます。下記は、試験機関から公表された標準解答例①の下段に記載された文章です。


  1. 【延焼のおそれのある部分】建築基準法第2条第六号の規定により、建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の存在について、隣地境界線又は道路中心線から延焼のおそれのある部分までの距離を記入し、延焼ラインを破線で図示することで確認を行った。この計画では、「延焼のおそれのある部分」に該当する建築物南面2階・3階の開口部(一部の東西の開口部を含む。)を防火設備とした。

    【防火区画】建築基準法施行令第112条第10項の竪穴区画(階段、昇降路)部分には所定の防火設備を設置する必要がある。この計画では、階ごとに面積区画を行い、高い安全性を確保しるため、竪穴区画を特定防火設備で計画した。
    【道路高さ制限】本課題の敷地は、第一種住居地域で、斜線勾配は1.25、容積率は200%である。建築基準法第56条第1項第一号、第2項、別表第3の規定により、「前面道路の反対側の境界線から後退距離に相当する距離だけ外側の線」から水平距離20m以下の範囲内において道路高さ制限の確認を行った。
    【直通階段に至る経路等】建築基準法施行令第120条第1項及び第2項並びに第121条第3項の規定により、2の直通階段を設け、居室の最も遠い位置から2の直通階段に至る歩行距離を図示し、その一に至る歩行距離及び重複区間の長さの確認を行った。
    【建築物移動等円滑化基準】バリアフリー法施行令第14条の規定を踏まえ、この計画では、地域交流スペースなど不特定かつ多数の者が利用する施設を有する1階の共用・管理部門にも、多機能便所を計画した。

上記のように法令〔「延焼のおそれのある部分」、「防火区画(面積区画・竪穴区画)」、「道路高さ制限」、「直通階段に至る経路等」、「建築物移動等円滑化基準」〕の考え方についても記載されていましたので、今後の試験においては、内容を十分に理解して解答する必要があることを示唆しているように思われます。


続いて、平成28年~令和2年までの「採点結果の区分(ランク分け)」を示します。

ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの

「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

○受験者の答案の解答状況
ランクⅢ及びランクⅣに該当するものが多く、具体的には以下のようなものを挙げることができる。

・設計条件に関する基礎的な不適合:「各ユニットのゾーニング等が不適切」、「要求している室の欠落」、「要求している主要な室等の床面積の不適合」等
・法令への重大な不適合:「延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置」、「道路高さ制限」や「直通階段に至る重複区間の長さ」等

ほとんどの受験者は、合格となったランクⅠと、不合格となったランクⅢ・Ⅳに区分されたことになります。この「採点基準」が試験対策の要となるわけです

3.学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率の比較

令和2年から平成27年までの当年の学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率は次のとおりです。

  全国
合格率
①当年の学科合格者の
合格率
②学科免除者の合格率
(前年/前々年学科合格者)
②-①
合格率
の差
合格者
/受験者
合格率 合格者
/受験者
合格率
R2
34.4% 1,809名
/5,661名
32.0% 1,987名
/5,374名
37.0% 5.0%
R元
35.2% 1,696名
/5,542名
30.6% 1,875名
/4,609名
40.7%> 10.1%
H30
41.4% 1,683名
/4,584名
36.7% 2,144名
/4,667名
45.9% 9.2%
H29
37.7% 1,564名
/4,793名
32.6% 1,801名
/4,138名
43.5% 10.9%
H28
42.4% 1,582名
/4,101名
38.6% 2,091名
/4,552名
45.9% 7.3%
H27
40.5% 1,594名
/4,650名
34.3% 2,180名
/4,658名
46.8% 12.5%

4.令和3年 設計製図本試験対策

採点方式が大幅に変更され、法令等を中心に厳しい採点が行われたものと考えます。今後の試験においては、減点項目を十分に理解し、減点を最小限に抑える図面を完成させることがポイントです。

  1. 法令遵守

    建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)については、課題発表時にも公表されますが、特に重要な要素です。

  2. 低層建築物及び基準階建築物のエスキス手順の理解

    課題テーマは、「低層建築物」と「基準階建築物」の2つに大別することができます。
    集合住宅等の基準階建築物と、図書館、コミュニティセンター等の低層建築物のエスキス手順は異なります。早期からどちらの手順についても、実践課題を通してマスターすることが必要です。

  3. 記述対策

    受験者答案分析から、「記述」も合否が決まる重要な要素です。
    近年の試験では記述の他、イメージ図を用いて解答する等、より専門的な知識を求められるようになっています。要点をまとめ、適切に記入する能力を養成することが合格への絶対条件です。

  4. 試験対策

    基礎構造の計画、天井等落下防止対策、環境負荷低減(パッシブデザインを含む)の取り入れ等については、今後の試験においても設計者として、常に知識を求められます。
    考え方を理解し、図面に反映させることがポイントです。


令和3年 対策ガイダンスのお知らせ

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