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2021年 1級建築士設計製図課題発表

2021年
1級建築士設計製図課題

集 合 住 宅

[要求図書]

  • ●1階平面図・配置図(縮尺1/200)
  • ●各階平面図(縮尺1/200)
  • ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。
  • ●断面図(縮尺1/200)
  • ●面積表 
  • ●計画の要点等
  • (注)建築基準法令等に適合した建築物の計画(採光、建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。

  • [建築物の計画に当たっての留意事項]

  • ・敷地の周辺環境に配慮して計画する。
  • ・バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • ・各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • ・建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • ・構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • ・空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。

  • [注意事項]

  • 「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
    なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

課題検証

1. 課題テーマと時代背景

現在、日本の人口は減少を続けている一方、住宅の総数は増加しており、住宅の供給過剰が指摘されている。しかし、高度経済成長期に大量に供給された住宅は、老朽化や耐震性の不足などの問題を抱えており、居住者の高齢化や多様化が進み、社会状況の変化によって、建替え(新築)や改修による新しい住宅の供給が必要とされている。

近年を振り返ると、マンションの杭や免震アイソレーターの不良工事問題、界壁等の不備、階段の崩落事故など、集合住宅に係る社会問題も多く発生しており、建築実務者としての知識や技量に加えて、コンプライアンス意識を改めて問われている。
環境面では、2021年4月から「建築物のエネルギー性能の向上に関する法律の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」が施行され、パリ協定の削減目標達成や脱炭素社会の実現に向けての取り組みを強化している。

社会政策面では、2021年5月に「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されたことを受け、長期優良住宅認定制度において新たに創設される災害配慮基準等の新基準の他、共同住宅における認定促進や脱炭素社会に向けた省エネ対策の強化に係る認定基準の見直し等が議論されている。

今年課題の「集合住宅」についても、こうした居住者の高齢化・多様化、安心安全な生活、環境への配慮などを視野に入れて考えることが必要であると考えられる。


■「集合住宅」について

集合住宅とは、一団となった敷地に複数の住戸が集まった住宅の形式をいい、建築基準法における用途分類は「共同住宅」に該当する。
敷地の有効利用、施設や空間を共有することによる生活の質の向上など建築物としてのメリットの他、都市の不燃化、まち並み景観の調和など地域としてのメリットが生まれる。

計画地としては、生活の場であり、共同化されているということから、「市街地」での出題が想定されるが、近年はコロナ禍により、リモートによる就業も広がりつつあり、地方や自然豊かな景勝地への転居も増えていることから、「郊外地」の出題も考えられる。

また、共同化のメリットとして、居住者の共用施設の他、生活利便施設や地域貢献施設が併設されることも考えられる。

以上のような状況をふまえた課題対策が、合否を分ける重要なポイントとなる。

2. 過去の類似出題について

「集合住宅」の近年の類似出題としては、
平成27年 「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建築物である。)」がある。

地上5階建てで、1階2階にデイサービスセンターが併設されている建物構成となっていた。

[構造種別は自由、地上5階建て、延べ面積は2,600m2以上、3,100m2以下]

  1. 更に、類似課題には、
  2. 平成18年「市街地に建つ診療所等のある集合住宅」
  3. 平成13年「集合住宅と店舗からなる複合施設」
  4. 平成11年「高齢者施設を併設した集合住宅」
  5. 平成5年「メゾネット住戸のある集合住宅」

また、昭和62年にも共同住宅のテーマでの出題があるが、いずれも店舗や集会施設など何らかの用途が併設または複合される出題になっており、建築計画に当たっての留意事項に各要求室のゾーニング・動線計画の項目があることからも、併設・複合を想定しておくことが必要である。

今年の課題においては、階数の指定がなく、1階平面図及び各階平面図の出題となっている。過去の本試験傾向をふまえると、3階建て以外に5~7階建ての出題も予想できる。

また、答案用紙の大きさから、延べ面積は2,000~6,000m2程度になると想定される。

3. 計画上のポイント

集合住宅を計画する上で、次のようなポイントが考えられる。

[建築計画]

  • ① アプローチについては、居住者用として、車、自転車、歩行者のアプローチが考えられる。駐車場や駐輪場からエントランスへの動線にも配慮が必要となる。
    併設する他の用途(その他の部門)がある場合には、居住者アプローチの分離等の配慮が必要となる。
  • ② 集合住宅には、専用部分と共用部分があり、更に居住者だけでなく地域住民にも公開される公共的なスペースを組み合わせた出題が考えられる。
  • ③ 併設される可能性のある施設には、集会施設、商業施設(店舗)、医療系施設(クリニックなど)、子育て関連施設(保育所など)、高齢者関連施設(デイサービス)などが考えられる。
  • ④ 屋外には、駐車場、駐輪場の他、広場等を設け、地域に開放することも考えられる。
  • ⑤ 建築構成としては、住宅部門とその他の部門は運営が異なることが予想されるが、居住者がその他の部門を利用することを求められる出題も考えられる。防火区画や設備等の計画においてもそれぞれの関係性を考慮することが必要である。

[構造計画]

  • ⑥ 3階建てから7階建て程度までが想定でき、階数に応じた構造部材断面について対応できるようにしておく必要がある。
  • ⑦ 構造種別は鉄筋コンクリート造が想定される。架構形式については、純ラーメン架構以外に耐力壁付きラーメン架構についても理解しておく必要がある。また、過去に出題された基礎免震構造についても学習しておくとよい。

[設備計画]

  • ⑧ 設備計画については、設備機器や設備シャフト等の位置に注意が必要である。
    設備シャフトは、給排水用シャフト(PS)、電気用シャフト(EPS)をそれぞれ計画する必要があり、その位置及び寸法についても正しく把握する必要がある。また、共用部分においては空調方式の選定やそれに応じた設備スペースを計画する出題も想定される。
  • ⑨ 設備としては、電気設備、給排水設備、空調換気設備、昇降機設備、消防設備の計画について理解しておく必要がある。共用部分や併設される用途によって変化することもあり、各設備方式の特徴や設置場所、寸法については正しく理解しておく必要がある。

[法規規制]

  • ⑩ 課題発表の「(注)」に記されている通り、採光、建蔽率、容積率や高さ制限(斜線、高度規制等)については対応できるよう算定方法等を確認しておく必要がある。
  • ⑪ 住宅の居室の法的採光についての不備は、「重大な不適合」に該当することも考えられるので、知識の再確認と計画の中でしっかりとチェックできるようにしておくことが重要である。
  • ⑫ 建蔽率の上限や高さ制限に違反した計画は、「重大な不適合」に該当し失格となる。また、延焼のおそれのある部分や防火区画、避難施設についても、法的規制では非常に重要な項目であり、重大な不適合(失格要件)に該当することや大きな減点になる。課題において挙げられた法規を遵守することは絶対条件である。

4. 計画の要点等

例年、計画の要点等が10問程度要求される。

建築計画・構造計画・設備計画において配慮した事項を記述式で要求されるが、重要なのは、実際に計画した建物と記述した内容に不整合がないことである。

建物の計画が優れていても、記述との不整合があれば、大きな減点を受ける可能性がある。

計画の要点等の記述については、暗記した内容をそのまま記述するのではなく、設問で問われていることについて、内容を正確に理解した上で的確な記述することを心がける必要がある。

更に、近年の出題傾向としてイメージ図の記入が必須となっており、記述内容についてわかりやすく図式化することを練習しておく必要がある。

住戸内部の計画についても、要求図面としてではなく記述のイメージ図において問われることも考えられ、対応できるようにしておくとよい。


今年の課題に対する学習のポイントとしては以下の項目が挙げられる。

  1. ⅰ. 周辺環境に配慮した計画
  2. ⅱ. バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮した計画
  3. ⅲ. 住宅部門とその他の部門の明確なゾーニング
  4. ⅳ. 特記事項欄から算定する要求室の面積
  5. ⅴ. 地盤状態や建物規模に適した基礎構造を含む建築物の構造計画
  6. ⅵ. 適切な設備計画
  7. ⅶ. 建築基準法令に適合した建築物の計画
  8. ⅸ. 記述問題に対応できる正確な知識

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